上部消化管外科 診療案内胃の病気と治療

胃の病気と治療

1.胃とは

胃は食道から続き十二指腸につながる臓器で、鳩尾(みぞおち)の辺りにあり、消化の重要な役割を担っています。

2.診療の対象となる胃の疾患

当科では、胃の様々な疾患の治療を行っていますが、代表的なものとして胃がんと胃消化管間質腫瘍(GIST)があります。

3.胃がんの治療

診断がついた時点でのステージ(進行の度合い)や患者さんのもともとの健康状態をもとに、手術だけではなく抗がん剤治療を含めた様々な治療方法の中から最適な治療法を、患者さんとよく相談したうえで選択します。

1 ロボット支援下手術

当科ではロボット支援下手術を積極的に行っています。

ロボット支援下手術の実際
ロボット支援下手術の実際
ロボット支援下手術の実際
ロボット支援下手術の実際
ロボット支援下手術の実際
ロボット支援下手術の実際
ロボット支援下手術の実際
ロボット支援下手術の実際
ロボット支援下手術の実際
ロボット支援下手術の実際
ロボット支援下手術の実際

胃がんに対するロボット支援下手術は腹腔鏡下手術よりも手術に伴う合併症を少なくすることができるという実績が報告され、2018年4月より保険診療として受けることが可能になりました。

さらに腹腔鏡手術よりも生存率の向上が得られるとも報告もされており、当科では可能な限り、ロボット支援下手術を行なっております。

当科における腹腔鏡下手術・ロボット手術支援下手術の推移(2004~2019年)

2 進行胃がんに対する治療

切除可能な高度進行胃がんに対しては、抗がん剤治療を手術前後に行うことで、治療成績の向上を目指しております。

また、遠隔リンパ節や肝臓への転移、腹膜転移、腹水細胞診陽性などがあるために切除不能と診断された進行がんや、手術後の再発に対しても、免疫チェックポイント阻害剤や、分子標的薬剤を併用した抗がん剤治療を積極的に行っております。長期間効果があれば、手術による切除(コンバージョン手術;conversion surgery)を行うことで完全な治癒を目指しております。

3 胃消化管間質腫瘍(GIST)の治療

GISTの発生率は年間に10万人に対して1人から2人くらいとされ、比較的まれな疾患です。手術では、腫瘍を含む胃を部分的に切除しますが、切除の方法によっては手術後の胃の変形が強く、胃の一部が狭くなる(狭窄)ことが問題となります。

そこで当科では、腫瘍の発育形式によって異なった切除方法を選択しています。

腫瘍の発育形式の違い
胃内発育型(腫瘍の大半が胃の中に向かって発育)
胃内発育型(腫瘍の大半が胃の中に向かって発育)
胃外発育型(腫瘍の大半が胃の外に向かって発育)

胃は硬い外壁である平滑筋と軟らかい内壁である粘膜の2重構造になっています。

胃内発育型GISTに対する手術では、胃の中から内視鏡で腫瘍の位置を確認しながら、外壁である平滑筋の切除範囲をできるだけ小さくすることで胃の変形を少なくできる場合があります。最小限の範囲でくり貫いた外壁(平滑筋)の孔を通して、軟らかい粘膜とともに腫瘍を胃の外に引き出して切除します。切除の際に自動縫合器(切除と縫合を同時に行う機器)を用いますので、胃を開かずに切除が完了します。

最後に外壁(平滑筋)の孔を縫い合わせて手術は終了します。

closed LECS法による腫瘍切除前後の胃内視鏡画像